ぱんださん40代で発達障害

日常、健康、思うこと

美術館ボランティア 研修 第4回

美術館ボランティア研修 第4回

 

 

作品の展示

 

博物館とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ)し、展示して教育的配慮の下にもとに一般講習の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関(社会教育法による公民館及び図書館法(昭和25年法律第118号)による図書館を除く。)のうち、地方公共団体民法明治29年法律第89号)第34条の法人、宗教法人又は政令で定めるその他の法人が設置するもので第2章の規定による登録を受けたものをいう。」

博物館法第2条より

 

 

 

美術館に何をしに来ますか?

 

 

展示とは、「品物・作品を並べて一般の人々に見せること」

 

展:人がからだをころがしてなやむことを原義とする。

  のびる。ひらく。のばす。つらねる。ならべる。みる。つまびらかに

  する。

  角川漢和中辞典より

 

 

博物館:資料の収集、保存、調査研究、展示、教育普及を行う施設

 

 

展示のポリティクス

 

美術館の運営方針、時には現代の社会状況をも考慮に入れて展覧会は企画される

  古代から現代まで

 

なぜ、今、それを見せるのか?ーー展覧会は、それを意識したうえで企画され、鑑賞者に問いを投げかける

 

どのように展示/提示するのか?ーー配置、並びによって、作品の見え方も変わる

 

 

<展覧会ができるまで>

  1. 調査研究
  2. 展覧会企画
  3. 作品借用打診・調整(所蔵館、所蔵家との交渉)、作家との交渉
  4. ポスター・チラシ作成
  5. 展示プラン作成
  6. 原稿執筆(図録、リーフレット、広報原稿、キャプションなど)
  7. 作品集荷
  8. 展示作業
  9. 撤収作業 

 

美術品専門業者が運ぶ

温度湿度保険

なぜ今このテーマなのか

 

 

 

コレクション展@コレクション展示室・・・どう見せるか、なぜ今なのか、そろそろ出

                   そう、テーマに沿って展示(古典、風景画)

 

特別展@特別展示室・・・館主催の特別企画展を開催。実行委員会形式

 

企画展@コレクション展示室・・・規模小さい自主企画。学芸員の日頃の研究成果等を

                発揮する自主企画。館外から作品借りて展示した

                り、作家の新作展をおこなったりする 



 

 

■美術作品の保存(環境)

 

文化財保護の歴史(日本)>

 

古来  虫干し(曝涼ばくりょう) 正倉院年数回

 

1871年  古器旧物保存方 廃仏毀釈がきっかけ 仏破壊につながった 神仏分離

→寺院・仏具・経文の破壊、保存対象は社寺の文化財・建造物のみ

 

1987年 古社寺保存法→古社寺が対象

 

1929年 国宝保存法→保存対象を個人・公共団体・国家所有に

 

1950年5月30日 文化財保護法 法隆寺金堂の火災がきっかけ

        保存科学を取り入れる   保護対象の増加

 

2018年1月 文化財保護法の改正法案提出を予定 → 活用するための施策を取り入れ

 

少子高齢化で人手不足

 

建造物をホテルにして、それで保護する規制緩和

 

 

 

<博物館資料保存に関する倫理>

 

ユネスコ(UNESCO)

1954年(第一議定書)1999年(第二議定書)

 

歴史建造物関係建築家技術者国際会議

1965年

 

  • 美術修復家のための倫理規定

アメリ文化財保存学会( AIC

1967年

 

  • 文化財の不法な輸入、輸出及び所有権移転を禁止し及び防止する手段に関する条約

1970年

 

1971年

 

  • 世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約

1972年

 

1973年

日本は1980年締結

 

  • 生物の多様性に関する条約

1992年

 

  • オーセンティシティに関する奈良ドキュメント

イコモス(ICMOS)

1994年

 

  • 盗取された又は不法に輸出された文化財に関する条約(ユニドロワ条約)

1995年

 

1997年

 

2001年

 

2003年

 

  • 職業倫理規定

アイコム(ICOM)

2004年10月改定

 

  • 博物館の原則と博物館関係者の行動規範

日本博物館協会

2012年7月

 

  • 美術館の原則と美術館関係者の行動指針

全国美術館会議

2017年9月

 

 ICOM 京都

真正性・・・本物であること

完全性・・・すべて含まれる 体制が整えられている  integrity

持続可能性・・・sustainatibity  サスティナビリティ

 

 

 

<美術品の破壊要因>

 

  1. 温湿度   キャンバス 樹脂 変動が起きる 箱の中に温湿度計が入っている
  2. 空気(気中化学物質)酸性雨のようなもの、ホルムアルデヒド酢酸
  3. 生物 文化財害虫 カビ 対策ミス
  4. 振動・衝撃 金属劣化 衝撃 人災
  5. 火災・地震
  6. 盗難・人的被害

 

 

<予防的保存>

 

損傷→調査→対処→復帰→観察→損傷  

 

ゆっくり進行するように予防する

 

温湿度管理 空調管理と記録 相手先への説明

 

照度調整  LED は紫外線が少ない 照度計を使い調光

 

空調の清浄化  調査 中性紙保存箱につめかえ 換気

 

物理的に無理のない展示・収蔵計画

 

防災マニュアルの作成・訓練 等

 

 

 

文化財 IPM 薬剤は最終手段にする

 

綿布団の作製と設置

 

免震台

 

避難訓練

 

セキュリティ

 

 

 

 

今後の課題

 

観光課による文化財の消耗

 

少子高齢化

 

持続可能な保全政策

 

 

 

 

 

 

■美術作品の保存(修復)

 

美術品保存の概念

 

オリジナルと異なる素材を追加し、元の状態もしくは元に近い状態戻すことを修復という

 

予防的な保全措置と現状維持を目的とした介入が主流

 

 

<美術作品の保存修復の歴史>

 

18世紀前

 

宗教、思想、販売を目的とした加筆、改変、偽造

 

 

18世紀

 

ポンペイ遺跡の発掘(1738年)

 

職業としての修復士の出現

 

ピエトロ・エドワーズ「公共絵画の保全・維持改善のための管理計画予備論考」

  1. オリジナルを重視
  2. 可逆性の概念
  3. 科学的調査の導入
  4. 報告書の作成

べネツィア公共絵画修復監督官

 

 

19世紀

 

修復の手引書の翻訳と出版

 

科学的分析の活発化

 

20世紀

 

修復機関の設立

 

修復家養成機関の設立

 

洗浄論争ロンドン・ナショナル・ギャラリー 対 フランス イタリア 洗いすぎ

 

 

近現代修復の理念

チェーザレ・ブランディ「修復の理論」

  1. 修復の目的は、美術品の潜在的な統一性を回復すること
  2. 芸術品のも美的価値や歴史的価値を損なわないことを
  3. 修復は最小限であること
  4. 修復箇所とオリジナル箇所の識別できること
  5. 修復処置は可逆的とし、必要に応じて修復前の状態に戻せること

 

ウンベルト・バルディーニ「フィレンツェ・レスタウラ」展

 

  1. 過去に行っていた修復技法を別の目的で採用し、再評価すること
  2. 加筆の価値を肯定すること
  3. 作品に歴史的価値を付与する要素として、時間と介入者を評価すること

 

 

 

<20世紀前半修復機関の設立>

 

1888年 ベルリン国立博物館(ベルリン)

 

1919年 大英博物館(ロンドン)

 

1925年 ルーブル美術館(パリ)

    ハーバード大学・フォッグ美術館(ケンブリッジマサチューセッツ

 

1927年 ボストン美術館(ボストン)

 

1930年 メトロポリタン美術館(ニューヨーク)

 

1931年 ナショナル・ギャラリー(ロンドン)

 

1933年 コートールド美術研究所(ロンドン)

 

1939年 マックス・デルナー研究所(ミュンヘン

 

1939年 中央修復研究所(ローマ)

 

1958年 ベルギー王立文化財研究所(ブリュッセル

 

 

作品の生とは?

制作ー剥落ー美へ収蔵ー修復

 

 

<油彩画の修復事例>

 

事例 AR. ペンク<シュタンダルト3>

 

写真状態調査

 

 

主な症状

 

輸送するたびにキャンパスがたわみ、絵画が剥落しそうになる

 

 

 

処置方針の決定

 

輸送に耐えられる強度にする

 

補彩は特にせず、亀裂や剥離がこれ以上進行しないようにする

 

 

処置工程

 

1 剥離留め

 

2 裂けの補修

 

3 張り具合の調整

 

4 裏面洗浄

 

5 カミライニング

 

6 表面洗浄 

 

 

 

 

選択肢

 

  • 復元に近い補彩

 

  • 線描画法

 

  • 中間色補彩

 

  • 何も足さない

 

 

 

この回の研修はボリュームがあった。

 

一つの展示に対してあらゆる専門家が総動員して作り上げているのだということがわかった。

 

絵画等が現代でもみることができるのは、修復と予防をしているからだと実感

 

今後、人で不足でかわることがあるのか?

 

AIになっていくのか?

 

温度や湿度というのはAI管理だろうと思われる

 

修復はどうだろう?

 

歴史的に戦火でどれだけの美術品が傷ついたのだろう?

 

国際的な条約の流れをみるとき、芸術に対する各国の本気度がわかる

 

美術作品もまた歴史に翻弄されたのだと思う

 

専門的な研修を受けて、知らなかった分野のことが、理解出来るようになったと思う